【レビュー】SIGMA 135mm F1.8 DG HSM -広角望遠レンズ【作例あり】

135mmは難しい、という話はよく聞く。実際持ってみるとなるほど、とたちどころに頷ける。なんというか、中途半端なのだ。自分の感覚よりはずっと望遠なのだが、少し広い景色に向けると物足りない画角になる。105mmの使いやすさとは全く違う感覚を覚えるのだ。

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それでも、私は135mmを買った。比較的ネガティブな理由だったと記憶している。Fマウントで中望遠が欲しかった。予算は10万円前後。本当は105mmがよかったのだが、大口径(少なくともナナニッパを持っているのでそれを上回るもの)で現代レンズだと、この予算帯では選択肢がない(Nikkorの105/1.4は予算オーバー、SIGMAの105/1.4は予算オーバーだしいくらなんでもでかすぎる)。そこで、135mmに目を向けると、Nikkorには、クセ玉のAi AF DC Nikkor 135/2Dしかない。Samyangの135mmも評判が極めていいが流石にAFがほしい。こうなると、残ったのはSIGMAのこのレンズだった。

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使いはじめて、いろんな対象につかってみたが、たちどころにわかったのは、このレンズ、ないし135mmという画角は広角っぽく使うと恐ろしい絵をはきだしてくれるのではないか、ということであった。

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135mmの風景写真は、望遠特有の整理された画面構成の中に、広大な景色を写しこみうる。これが200mmやそれ以上になると、望遠的な切り取る要素が強調されすぎて、景色の広大さは写しにくい。逆に85mmになると、望遠の要素が減少し、画面構成を考えるのが難しくなる。この微妙なバランスの上に135mmはある。

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どちらかというと、レンズレビューというよりは135mm論のような様相を呈しているので、このレンズの話もしよう。まず、ePHOTOzineの公開している、数値のバグとしか思えないMTFチャートを確認したい。

開放から中央・周辺ともバキバキに解像し、収差もほとんどない。正直、単純なレンズの性能としてこれ以上はない。開放だとやや周辺減光があるが、これはご褒美なので問題ない。歪曲もややあるが、これは後処理で補正可能。

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AFはそこそこ速い。少なくとも遅くはない。ただ、単焦点かつ微妙な画角なので動き物に使うのはあまりおすすめできない。

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さすがSIGMAのArtシリーズと言う感じで筐体はガッチリしている。Artにしては重さも控えめでギリギリ持ち出す気になる。

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ボケは美しいが、開放から解像しすぎてしまうため、ポートレートレンズとしてはかなり使いにくい印象がある。また、ポートレートで使うには、対象との距離が遠くなりすぎ、絵も圧縮効果で平板になり遊びが効かせにくい。

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最初に書いたとおり、中望遠は難しい画角である。70-200をお持ちでないなら、まずそっちから買ったほうが撮影の幅は圧倒的に広がる。それでも大口径がほしい!単焦点でしか写真を撮れない!みたいな病気にかかった人にはこころからおすすめできる。

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DSC_4298  それでは。